2023年の税制改正大綱は、昨年の12月に公表され、 今年の3月に成立、4月施行となります。
改正の主だった内容は以下になります。
・適格請求書等保存方式(インボイス方式)
・NISAの抜本的拡充と恒久化
・相続時精算課税制度の基礎控除
・暦年課税制度の生前贈与加算延長
・相続時のマンションの評価方法の適正化
・相続空家の3000万円特別控除の対象拡大 等
この中から相続時のマンションの評価方法の適正化を取り上げたい と思います。
2017年に相続税の基礎控除がそれまでの60% に減らされました。
改正前は、相続税課税の対象は死亡者の4%程度でしたが、 基礎控除の減額で昨年度は18.1%にまで増加しております。
こうなると何とか税金の支払いを減らすためにあの手この手で節税 策を編み出そうと考える訳ですが、
あまりにも目立ってしまったり、 広く浸透し過ぎて対策を行う人が増えてくると国税局も看過できず 対処せざるを得なくなり、
通達を出し節税策を行えないようにするといったことが過去にも頻 繁に行われ、いわゆるイタチごっこの状況が常にあります。
人気を博していた生命保険による節税については、 目に余る募集表現があったとして
今般行政処分を受ける保険会社も出てしまいました。
2023年の税制改正大綱では、 タワーマンションを使った節税を適正化する方向性が示されました 。
不動産の相続税評価額は、 基本的に路線価を元に計算されています。
経験の浅い税理士に相続税の申告を頼むと単純に固定資産評価額を 元に申告してしまい、
納税者が多めに税金を払ってしまうことも少なくありません。
納税後5年以内なら更正手続きを取って返還してもらうこともでき ますが、
国税局の方から多く納め過ぎているから返還しますということは、 絶対に言ってきません。
タワーマンションの固定資産評価額については、 2017年に計算方法が見直されました。
それまでは、 マンション専有部分の固定資産税を住戸数で割ったものに各区分所 有者の専有面積を乗じて計算していました。
ですので1階でも50階でも面積が同じなら固定資産税が同額にな るという不合理が長く続いていたのです。
実際の取引価格は、高層階ほど価格が高く、 低層階に比較すると1.5倍近くなることもあります。
この改正によりマンションの固定資産税は、 ちょうど中間の階を起点にして、
上に高くなるにつれて固定資産税の額が増額し、 下に低くなるにつれて減額する仕組みに変更となりました。
ただタワーマンションは戸数が多いためにそれほど大きく固定資産 税が増えたり減ったりということもなく、
これ以降もタワーマンション節税は続けられておりました。
相続税法では、その財産の価格は、「 当該財産の取得時における時価」とされているものの、
路線価等に基づく相続税評価額で納税されることが多く、 国税局が時価で評価し直して課税処分を行うケースも増えておりま した。
こうした中、令和4年4月の最高裁判決は、 時価での評価見直しの国の主張を認めました。
この判決の影響もあり、 今回の税制改正大綱で相続税におけるマンションの評価方法につい ては、
相続税の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、 適正化を検討すると盛り込まれました。
この税制改正は、あまり表面的に問題になっていませんが、 相続税の節税対策に所有する人も少なくない米軍の基地の土地、
いわゆる軍用地の相続税評価にもいずれ影響が出てくるかもしれま せん。
ただ、 あまり税制面で厳格な運用に徹すると経済成長を阻害する要因に成 りかねないのではと
ちょっと懸念致します。
